順番待ちを始めると、発券したのに案内のときにいらっしゃらない方が出てきます。途中で帰られる方、呼んでも戻られない方。紙の受付表でもデジタルの整理券でも、キャンセルは一定数起こり得るものとして考えておく必要があります。
それでも「どのくらい起きているのか」を数字で持っておくと、呼び出してから何分お待ちするか、何組前に知らせるかといった決めごとに根拠ができます。この記事では、順番待ちのキャンセル率の定義と、キャンセルが起きる仕組み、予約の無断キャンセルとの違い、そして matoca の実測値をもとに店ができることを整理します。
順番待ちのキャンセル率の定義

順番待ちのキャンセル率は、発券した組のうち、案内までたどり着かなかった組の割合です。分母は発券した組数、分子は案内に至らなかった組数です。
分子には、性質の違う2つが入ります。
- 事前のキャンセル:お客様がご自身で取り消したもの。スマートフォンの画面から取り消す、受付に「やめます」と伝える、など
- 無断のキャンセル(NoShow):何も連絡がないまま、呼び出しても現れなかったもの
matoca の実測では、順番待ちのキャンセル率(NoShow を含む)は7.5% です(紙の整理券はやめなくていい)。おおよそ13組に1組が案内に至らない計算です。これは matoca を使う店舗全体を集計した値で、店や曜日によって上下します。
自店の数字を出すときは、事前のキャンセルと無断のキャンセルを分けて数えることをおすすめします。同じ1組でも、店に与える影響が違うからです。
キャンセルが起きる仕組み
キャンセルの理由はお客様ごとに違いますが、店の側から見ると、起きやすくなる条件はいくつかに絞れます。
1つ目は、待ち時間が読めないこと。 あとどれくらいかが分からなければ、お客様は待つかやめるかを決められません。紙の台帳で待ち時間が読めず、多いときに約3割がキャンセルになっていた店の例は、行列店の待ち時間対策で紹介しています。
2つ目は、待ち時間が長いこと。 四つ角飯店では、土日は呼び出しが2時間後、3時間後になることもあります。同店の店長は、順番が来ても戻ってこられない方や途中でキャンセルされる方はいらっしゃる、と話しています(四つ角飯店の導入事例)。待つ時間が長いほど、その間にお客様の予定が変わる余地も大きくなります。
3つ目は、順番を気軽に取れること。 スマートフォンから発券できるようにすると、並ぶ手間がない分、取る心理的な負担も小さくなります。複数の番号を取って1つだけ残すような使い方が出ると、キャンセルが重なって待ち時間が発券時の目安から大きく変わることがあります(炭焼きレストランさわやかの導入事例)。
4つ目は、呼び出しが届かないこと。 店の外でお待ちいただく運用では、呼んだことが伝わらなければ、お客様に来る気があっても無断のキャンセルと同じ結果になります。
予約の無断キャンセルとの違い
「キャンセル」や「NoShow」という言葉は、予約の文脈でもよく使われます。ただ、順番待ちと予約では、1組のキャンセルが店に与える影響の形が違います。
| 予約 | 順番待ち | |
|---|---|---|
| 確保しているもの | 日時と席 | 列の中の位置 |
| 無断で来なかったとき | その時間の席が空く | 次の方を案内できれば席は埋まる |
| 店の損失が出る場面 | 来店予定の時間を過ぎたとき | 呼び出してから次の方を案内するまでの間 |
順番待ちでは、後ろに並んでいる方が繰り上がります。四つ角飯店でも、ご案内の際にいらっしゃらない場合は、店前でお待ちの次の順番のお客様をご案内しています(四つ角飯店の導入事例)。つまり順番待ちのキャンセルで席が空くのは、待つと決めた時間の分だけです。
裏を返すと、後ろに並んでいる方がいれば、事前のキャンセルは席の空きにつながりにくいと言えます。呼び出す前に取り消していただければ、列が1組短くなるだけです。ただし、後ろに誰もいない時間帯や、順番に合わせて料理の準備を始める店では、事前のキャンセルでも損失が出ます。
損失が出やすいのは、呼び出してもいらっしゃらず、猶予の間その席を押さえたままになる無断のキャンセルです。取りやめを早めに伝えていただいても、キャンセル率そのものは変わりません。それでも無断のキャンセルの割合が下がれば、席が空いたまま止まる時間は減ります。 キャンセル率を見るときに、全体の値と無断の値を分けておくのはこのためです。
もう1つ、「保留」とも区別しておきます。保留は、呼び出しに応答がない方をいったん列から外しておく店の扱いで、その時点ではキャンセルとは限りません。戻られたらどこへお入れするかを決めておけば、保留から案内に戻ることもあります。
キャンセル率が実際にどう使われているか
キャンセル率は、運用の決めごとを見直すときの物差しとして使われます。
- 呼び出しの猶予を決める:何分お待ちするかは、無断のキャンセルの多さと席の回転の兼ね合いで決まります。決め方は飲食店の順番待ちにまとめています
- 何組前に知らせるかを決める:店の外でお待ちの方には、戻るのにかかる時間の分だけ早めに知らせる必要があります
- 店の外からの発券を開くかを決める:外から取れるようにすると、呼んでも来られない方が出やすくなります。開いたあとにキャンセル率がどう動いたかを見て、距離の制限などを調整します
比べるときは、組数ではなく割合で見てください。混む日はキャンセルの組数も増えるので、組数だけを見ると「悪くなった」と見誤ります。曜日と時間帯、発券組数の近い日どうしを割合で比べると、運用を変えた影響を見分けやすくなります。
matoca でのキャンセルへの備え
matoca には、キャンセルの4つの起きやすい条件に対応する機能があります。
待ち時間を見えるようにする。 一日200人以上が来店する廚 菓子 くろぎは、matoca の導入で待ち組数の可視化と自動通知を実現し、キャンセル率が低下しました(matoca 導入事例)。お客様は「順番を確認」の画面で、あと何組かを確かめられます(matoca ヘルプ)。
近づいたら知らせる。 四つ角飯店は、順番が5組以内に近づいた段階で自動で通知を送る設定にしています(四つ角飯店の導入事例)。何組前に知らせるかは、無断のキャンセルの割合を見ながら前後させられます。呼んでも伝わらないことによる無断のキャンセルを減らすための設定です。
取りやめをお客様ご自身でできるようにする。 「順番を確認」の画面の下にある「順番待ちをキャンセルする」を押し、確認画面で「キャンセルを実行」を押すと、お客様ご自身で取り消せます(matoca ヘルプ)。四つ角飯店でも、お客様自身で LINE からキャンセル操作ができる点を挙げています。黙って帰る代わりに、画面からご自身で取り消せることが、無断のキャンセルを事前のキャンセルに置き換える入口になります。
とりあえずの発券を防ぐ。 店の外から整理券を取る場合は、いたずら防止のため店ごとに距離の制限があります。また、別のお店で順番待ちをしている間は、新たに整理券を取れません(matoca ヘルプ)。さわやかが matoca を選んだ理由の1つも、距離制限に加えて、同じ系列の店舗へ重複して発券できないようにする仕組みがあったことでした(さわやかの導入事例)。
それでも、仕組みだけですべては解決しません。さわやかは、不要になった発券は早めにキャンセルする、いつ呼び出されても間に合う場所で過ごす、といった使い方をお客様に理解していただき、定着させていく必要があると話しています(さわやかの導入事例)。機能と、お客様への案内の両方で減らしていくものだと考えてください。
matoca は、導入企業390社超・導入店舗2,380店(エンハンス・スポットプランを除く)で使われています。キャンセル率を測ることから始めたい店舗は、まず事前のキャンセルと無断のキャンセルを分けて数えるところから考えてみてください。
まとめ
- 順番待ちのキャンセル率は、発券した組のうち案内に至らなかった組の割合。事前のキャンセルと無断のキャンセル(NoShow)に分けて数える
- matoca の実測では、無断を含めたキャンセル率は7.5%。おおよそ13組に1組
- 起きやすい条件は、待ち時間が読めない・長い・気軽に取れる・呼び出しが届かない、の4つ
- 予約と違い、順番待ちでは次の方が繰り上がる。損失が出やすいのは無断のキャンセルなので、全体の値と無断の値を分けて見る
- matoca では、待ち組数の表示、近づいたときの自動通知、お客様ご自身でのキャンセル、距離制限と重複発券の防止で備えられる
出典
- 株式会社ブレイブテクノロジー「紙の整理券はやめなくていい」(matoca の実測値)
- 株式会社ブレイブテクノロジー「matoca 公式サイト」(導入事例・廚 菓子 くろぎ)
- 株式会社ブレイブテクノロジー「四つ角飯店の導入事例」
- 株式会社ブレイブテクノロジー「炭焼きレストランさわやかの導入事例」
- 株式会社ブレイブテクノロジー「matoca 整理券の使い方・ヘルプ」
