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フードコートの順番待ちは、店舗ごとではなく施設でまとめる

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「フードコートの順番待ち」というコラムの見出し画像

フードコートやフードホールの順番待ちは、飲食店1店の順番待ちを何倍かしたものではありません。待ちが3種類あり、しかもそれぞれ責任を持つ相手が違うからです。

この記事は、複数店舗が入る施設で順番待ちをまとめて捌くための手順書です。1店舗としての決め方は飲食店の順番待ちは、ピークの形から決めるに、方式そのものの分類は順番待ちシステムとはにまとめてあります。この記事は、その上に施設としての判断を足すものです。

フードコートの待ちの実情

フードコートでは、施設内で次の3種類の待ちが発生し得ます。

待ちの種類誰が抱えるか詰まったときに起きること
入場待ち(満席・混雑時)施設通路と入口に人が溜まる
店舗ごとの受け取り待ち各店舗店頭に列ができ、隣の店の動線を塞ぐ
席の確保待ち施設(共用席の場合)料理を持ったまま席を探すことになる

1店舗の飲食店なら、この3つは「1本の待ち」にまとまります。フードコートでは分かれます。分かれているのに、来場された方から見れば体験はひとつです。

ここが、店舗ごとに順番待ちを導入していくとうまくいかない理由です。店ごとに受付の方法が違えば、来場された方は店の数だけ手順を覚えることになります。施設側から見ても、テナントごとに導入の可否を判断してもらう手間がかかり、スタッフの習熟にも時間がかかります。

自店のピークをどう測るかは飲食店の順番待ちにまとめてあります。施設で追加になるのは、テナントの記録を合算することと、共用席の埋まり方を別に押さえることの2つです。

合算は、店舗ごとの山がずれることを見るために行います。同じ12時台でも、麺類の店と定食の店ではピークが十数分ずれるのが普通で、その差が通路のどこに列を作るかを決めます。店舗単位の記録をいくら細かく見ても、この形は出てきません。

共用席は、どの店舗の記録にも残りません。埋まり方を見るには、時間帯ごとに空席をざっと数えるところから始めることになります。手書きで構いません。

入場制限をかける水準は、この2つに加えて、施設の収容人数と通路の混み具合まで見て決める判断です。数字だけで自動的に決まるものではありません。 なお業界統計は背景を押さえるためのもので、日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」も日本チェーンストア協会の販売統計も月単位の集計です(日本チェーンストア協会は令和8年7月度を2026年8月25日に発表)。設計の材料にはなりません。

施設として決める5つのこと

フードコートの共用席に落ち着いて座る人たちと、奥に並ぶカウンター店舗のイラスト
席は施設のもの、呼び出しは店舗のもの。この分かれ方を先に決めておく

1. 番号を持つのは施設か、店舗か

最初に決めるのはここです。 施設が窓口を1つ持ち、その中から各店舗の整理券を取れるようにするのか、店舗ごとに別々の窓口を置くのか。

技術的にも、早い段階で決めておく値打ちがあります。LINE ミニアプリは LIFF(LINE Front-end Framework)上で動くウェブアプリで、アプリをインストールしなくても利用できますが、LINE ミニアプリチャネルでは、同一チャネルに複数のウェブアプリを追加することはできません(LINEヤフー「LINEミニアプリとは」)。窓口を施設で1つにするか店舗ごとに分けるかは、チャネルをいくつ用意するかという設計そのものになります。

あとから変える場合に何が要るかを見ておいてください。チャネルの追加や作り直しに加えて、配布済みのリンクとQRコードの差し替えが発生します。館内の掲示物、卓上のPOP、施設サイトの案内、印刷済みのチラシ。紙に刷った分だけ、やり直しの範囲が広がります。

2. 入場制限をかけるか

フードコート特有の判断です。満席のまま入場を受け入れ続けると、料理を持った方が席を探して滞留します。入場そのものに整理券を出すかどうかを決めてください。

かけると決めたなら、あわせて解除の伝え方も決めます。待っている方が館内に散っている状態なので、解除を個別に伝えるのか、待っている方へ一斉に知らせるのかで、運用がまったく変わります。

3. 席待ちを施設が扱うか

共用席のフードコートでは、席は特定の店舗のものではありません。席の確保待ちを仕組みに乗せるかどうかは、施設だけが決められます。

扱わないという判断も十分あります。その場合は、店舗の受け取り待ちだけを仕組みに乗せ、席は従来どおり空いた所へお座りいただく形になります。決めずに始めると、混雑時に「席が空くまで呼ばないでほしい」という要望が店舗側から出て、現場ごとに扱いが変わります。

4. 受付でうかがう項目と、施設から店舗への渡し方

施設が受け付けて店舗が呼び出す形にすると、受け付けた情報が施設から店舗へ渡ります。 これが委託にあたるのか第三者提供にあたるのかは、契約の形によって変わります。

個人情報保護委員会は「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(第三者提供時の確認・記録義務編)」とその Q&A を公開しており、中小企業向けのお役立ちツールとして「委託先管理に関する着眼点」「自己点検チェックリスト」「個人データ取扱要領(例)」も配布しています(個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」)。テナント契約とは別に、データの取り扱いをどちらの責任にするかを書き残しておいてください。

いちばん軽いのは、呼び出しに使わない項目を取らないことです。人数と店舗名だけで回るなら、それ以上は増やさないでください。

5. QRをどこに置くか

施設は掲示できる場所が多いぶん、置き場所を決めないまま増えていきます。LINE ミニアプリはパーマネントリンクを持ち、QRコードを作成して各種媒体に掲載できます(LINEヤフー「LINEミニアプリとは」)。技術的にはどこにでも置けます。

だからこそ、入口・各店舗のカウンター・席の卓上のどれに置くかを先に決めてください。置く場所が、そのまま「どこで番号を取ってほしいか」の意思表示になります。入口だけに置けば入場前に取っていただく運用になり、卓上に置けば座ってから取る運用になります。

なお、認証済ミニアプリになると再訪の導線が増えます。その中身は順番待ちシステムとはにまとめてあるので、再訪の多い商業施設ほど、そちらを先に読んでおいてください。

開業・改修までの流れ

全館一斉に始めると、うまくいかなかったときに原因がテナント側にあるのか仕組み側にあるのか分からなくなります。段を分けてください。既存施設と新規開業では、第1段だけが違います。

第1段(既存施設):合算して測る。 各テナントの時間帯別の発券数と、共用席の埋まり方を1〜2週間記録します。この段では仕組みを変えません。

第1段(新規開業):想定を置いて、試験営業で確かめる。 実績がないので測れません。席数と店舗数から想定を置き、内覧会やプレオープンの時間帯に、その想定と実際がどれだけずれたかだけを見ます。ずれた方向を記録しておけば、開業後の修正が速くなります。

第2段:数店舗で受け取り待ちだけ動かす。 入場制限と席待ちは閉じたままにします。ここで確かめるのは、いちばん混む時間帯に店舗のスタッフの手が止まらないかどうかです。止まったら、受付項目・操作への不慣れ・館内の電波状況のどれが原因かを切り分けてください。原因が1つとは限りません。

第3段:全館へ広げる。 施設側に窓口を1つ置く形にしたなら、この段で店舗一覧から各店舗へ入る導線を開きます。ここはテナント間の調整が主な仕事になります。取り扱いを揃えるのは3点です。呼び出してから何分お待ちするか、応答がないときにどう保留するか、そして館内放送を併用するか。店舗ごとに違っていても構いませんが、違うことを施設側が把握している状態にしてください。

第4段:入場制限を入れる(2で採用すると決めた場合)。 いちばん最後です。入場制限は来場された方の体験に最も強く働くので、受け取り待ちが安定してからにしてください。

matocaでのフードコートの実例

東京の名店26店舗が集まる商業施設「虎ノ門横丁」(虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー内)では、2020年6月のオープンにあわせて matoca の前身サービスが導入されました。セイコーソリューションズ株式会社の「Linktoモバイルオーダー for フードコート」と連携し、順番待ちと注文を1つのLINEトークルームで完結できる仕組みを共同開発したものです(PR TIMES)。

この記事の1番目と2番目の判断が、そのまま形になった事例です。窓口は施設側に1つ置かれ、施設のLINE公式アカウントから店舗一覧をたどる形になりました。そして満員時には入場制限を行い、入場待ちの整理券発券と、制限解除時の一斉通知に対応しました。先に「解除の伝え方まで決める」と書いたのは、ここが実際に要件になるからです。

導入の経緯と、そのとき何が課題だったかは導入事例にまとめてあります。テナントの入れ替わりがある施設ほど、窓口を1つに寄せた効果は毎回効きます。

まとめ

フードコートで先に決めるのは、機能ではなく待ちの持ち主です。入場待ちは施設、受け取り待ちは店舗、席待ちはどちらが扱うのか。ここが決まっていないまま店舗ごとに導入していくと、来場された方は店の数だけ手順を覚えることになります。

そのうえで、合算して測る → 数店舗で受け取り待ちだけ動かす → 全館へ広げる → 必要なら入場制限、の順に進めてください。窓口をいくつ持つかは、あとから変えにくい判断です。 そこだけは最初に決めてください。

出典

  1. LINEヤフーhttps://developers.line.biz/ja/docs/line-mini-app/discover/introduction//2026年9月16日 取得
  2. 個人情報保護委員会https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal//2026年9月16日 取得
  3. 日本フードサービス協会https://www.jfnet.or.jp/industry_report//2026年9月16日 取得
  4. 日本チェーンストア協会https://www.jcsa.gr.jp//2026年9月16日 取得
  5. PR TIMEShttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000024413.html/2026年9月16日 取得

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