カフェやスイーツ店の行列が困るのは、長さより並ぶ場所です。店の前に場所がなければ、お待ちの方は入口の内側に立ちます。すると、レジの前がふさがり、テイクアウトの方が通れず、席でくつろいでいる方のすぐ横に人が立つことになります。カフェの行列対策は、列を短くする前に、狭い店内に「待つ場所」をつくらないことから始まります。
この記事は、席数も店の広さも変えずに行列を捌きたいカフェ・スイーツ店のための手順書です。飲食店の順番待ち全般の決め方は飲食店の順番待ちは、ピークの形から決めるに、待ち時間が長い店の見せ方は行列店の待ち時間対策にまとめています。ここでは、滞在が長く、店内の落ち着きそのものが商品になっている店ならではの判断を足します。
カフェ・スイーツ店の待ちの実情
最初に、数字で言えることと言えないことを分けておきます。
日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査(2025年年間)では、「喫茶」の売上は前年比109.8%で、ファーストフードやファミリーレストランなどと並ぶ大きな業態区分のなかでいちばん高い伸びでした。ただし内訳を見ると、客数は101.1%、客単価は108.6%です。店舗数は100.6%でした。売上の伸びの多くは客単価によるもので、来店する方の数はほぼ前年並み、というのが喫茶業態の2025年です。
家計の側でも、総務省の家計調査(2025年平均・二人以上の世帯)では「外食」が実質増加に数えられる一方で、「菓子類」は実質減少でした。
この調査は協会の会員社が対象ですが、少なくとも調査対象の喫茶業態では、来店する方の数が急に増えているわけではないと言えます。それでも行列ができる店があるのは、人気が特定の店や季節、時間帯に集まることが一因と考えられます。カフェやスイーツ店の待ち時間を業界で集計した公開統計は見当たらないので、ここから先は店の形から考えます。
カフェの席は、1組あたりの滞在が長く、しかも組ごとのばらつきが大きくなりがちです。飲み物だけですぐ出る方もいれば、長くくつろぐ方もいます。次に席が空く時刻が読めないので、待ち時間を「何分」とお伝えしにくく、お待ちの方は店の近くを離れにくくなります。これが、狭い店内に人がたまる理由です。

| 店内にたまる場所 | 起きていること | 手当て |
|---|---|---|
| 入口の内側 | 空き待ちの方が立ち、扉が開いたままになる | 店内で待っていただく組数に上限を決める |
| レジ・テイクアウト窓口の前 | 注文の方と空き待ちの方が同じ列に並ぶ | 受付を分ける |
| 席のすぐ横 | 席の方が「急かされている」と感じる | 番号を配り、呼ぶまで離れていただく |
導入の前に決める4つのこと
機能を比べる前に、この4つを決めてください。
1. 店内で待っていただくのを何組までにするか
最初に決めるのは、行列の長さではなく、店内に立っていただく組数の上限です。入口の内側に1組なら立てる店もあれば、1組も立てない店もあります。上限を超えた方には番号をお渡しし、店の外で過ごしていただきます。
上限は「扉を閉められるか」「レジの前が空いているか」で決めると迷いません。0組と決めてしまえば、店内の見え方は行列があってもなくても同じになります。
2. 何組前でお知らせするか
席が空く時刻が読めない店では、「何分後」より「あと何組」のほうが正確です。待ち組数をお待ちの方のスマートフォンで見られるようにし、順番が近づいたら通知でお知らせします。何組前で知らせるかは、お知らせしてから戻られるまでの時間を、席が空くまでに確保できるかで決めます。 席数や、複数の組が一度に席を立つか、キャンセルがどれくらい出るかでも変わるので、最初は仮に決めて、戻られるまでにかかった時間を記録しながら調整してください。
LINE のミニアプリなら、アプリをダウンロードしていただかなくても使え、順番の呼び出しも LINE で届きます(LINEヤフー for Business)。お知らせしても戻られなかった方は保留にして、次の方をお呼びします。保留にした方が戻られたときの扱いは、飲食店の順番待ちに書いた基本のとおりです。
3. テイクアウトの受付を分けるか
カフェやスイーツ店には、席を待つ方と、持ち帰りの注文をする方が同じ入口から来ます。同じ列に並んでいただくと、席が空かない限り、数分で済むはずの持ち帰りの方まで待たせることになります。 番号を配るのは席を待つ方だけにし、持ち帰りの方はレジへそのまま進んでいただく、と分けてください。店頭の案内も2つに分けて書きます。
4. 呼んだあと、どこでお迎えするか
お知らせを受けて戻られた方を、どこで迎えるかも決めておきます。入口の外で名前か番号を確認してから席へご案内する形にすると、店内に立っていただく時間がほとんどなくなります。迎える役を誰が持つかは、ホールを回す人に寄せて1人に決めてください。
運用開始までの流れ
第1段:店内にたまる時間帯を測る。 ピークの1時間だけ、入口の内側に何組が立っていたかを10分ごとに手書きで記録します。あわせて、お呼びしたときにいらっしゃらなかった組の数と、お呼びした組の数も付けておきます。ほとんど立っていない店なら、受付を変えても店内の見え方は変わりません。
第2段:店頭の案内だけ先に変える。 「店内でお待ちいただけるのは○組まで」「お持ち帰りの方はレジへ」の2枚を貼り出します。仕組みを入れなくても始められます。
第3段:番号と通知を開く。 上限を超えた方に番号をお渡しし、順番が近づいたら通知する形に切り替えます。第1段と同じ時間帯・同じ記録項目で測り、入口の内側に立っていた組数と、お呼びした組数に対するいらっしゃらなかった組の割合を比べてください。
第4段:通知を使わない方の待ち方を決める。 通知を使わず、番号を持って近くでお待ちになる方も残ります(実測は紙の整理券はやめなくていい)。カフェで決め直すのは、その方々にも店内の上限を守っていただく方法です。番号札に「○時ごろにお戻りください」と目安の時刻を書いてお渡しし、戻られた方は入口の外で番号を確認してからご案内します。扉とテイクアウトの動線をふさがない位置に、次にお呼びする1組だけが立てる場所を示してください。
matoca での実例:廚 菓子 くろぎ
かき氷店の廚 菓子 くろぎは、一日200人以上が来店する人気店です。以前は紙の台帳で順番を受け付けていましたが、多いときで90組中30組、約3割がキャンセルになっていました。行列ができるなかで、一人ひとりを丁寧にもてなすことにも苦戦していたそうです(ダイヤモンド・オンライン「行列ができるかき氷店が3割もの機会損失を解消した『手探りのDX戦略』とは」)。
そこで、LINE の順番待ちに切り替え、待ち組数の可視化と自動通知で、約3割あったキャンセルを減らしました(matoca 導入事例)。同じ事例は行列店の待ち時間対策でも、待ち方の変化の面から紹介しています。
| 決めごと | 廚 菓子 くろぎで変わったこと |
|---|---|
| 待ち時間の伝え方 | 紙の台帳から、待ち組数を見られる形へ |
| 呼び出し | 順番が近づいたら自動通知 |
| 狙い | 効率化できるところは効率化し、人がもてなす余白を作る |
カフェ事業部の統括責任者・清藤亮佑さんは「デジタルで効率化できるところは効率化し、人がしっかりおもてなしできる余白を作りたい」と話しています。待ち組数が見え、呼ばれるまで離れていられることが、店内を落ち着かせたまま行列を受け止める部分です。
まとめ
カフェやスイーツ店の行列対策は、列の長さより、狭い店内に待つ場所をつくらないことから始まります。
先に決めるのは4つです。店内で待っていただく組数の上限、何組前でお知らせするか、テイクアウトの受付を分けるか、呼んだあとどこでお迎えするか。そのうえで、たまる時間帯を測る → 店頭の案内を変える → 番号と通知を開く、の順に1段ずつ進めてください。行列があっても店内の落ち着きが変わらなければ、席の方もお待ちの方も、それぞれの時間を過ごせます。
