順番待ちシステムを何社か比べ始めると、資料の機能表はどれも○が並び、違いが見えにくくなります。けれども、導入したあとに店の困りごとが解けるかどうかは、○の数ではなく、いちばん混む時間帯に、お客様とスタッフがどう動くかで決まります。
この記事は、複数の順番待ちシステムを比べるときに、どこを見て決めればよいかをまとめたものです。受付方式や呼び出し方法の種類そのものは順番待ちシステムとはで、飲食店でのピークの考え方は飲食店の順番待ちは、ピークの形から決めるで整理しています。ここでは、その知識を「比べる」場面に持ち込みます。
「順番待ちシステムの選び方」の定義
この記事でいう「選び方」とは、製品の優劣を決めることではなく、自店の運用に合う組み合わせを決めることです。
順番待ちシステムは、どの製品でもおおむね「受付する」「順番を知らせる」「呼び出す」「記録を残す」の4つの仕事をします。違いが出るのは、その仕事を誰が、どの端末で、どれだけの手間で行うかです。同じ機能が載っていても、店頭の端末で完結する製品と、お客様のスマートフォンを前提にした製品とでは、ピーク時の店の景色がまったく変わります。
ですから、比べる前に決めておくのは「どの製品がよいか」ではなく、「自店では、受付と呼び出しを誰の手に任せたいか」です。
比べるときに見る仕組みの4つの軸
製品の違いは、次の4つの軸に分けると並べやすくなります。

軸1:お客様は、何を使って受付するか
店頭の端末か、お客様のスマートフォンか、その両方か。方式の種類は順番待ちシステムとはで整理したので、ここでは比べ方だけを書きます。
総務省の情報通信白書によると、2024年のスマートフォンの世帯保有率は90.5%で、インターネットの利用も端末別では「スマートフォン」(74.4%)が「パソコン」(46.8%)を上回っています。一方で、年齢別のインターネット利用率は、13歳から69歳までは各階層で9割を超えるものの、70歳以降は年齢が上がるにつれて低下する傾向にあります(総務省「令和7年版 情報通信白書」)。
つまり、スマートフォンで受付できることを前提にしつつ、スマートフォンを使わない方の入口を残せるかが比較のポイントです。紙の整理券や店頭の発券に切り替えられるかどうかは、機能表で必ず確かめてください。
軸2:順番が来たことを、どこに知らせるか
呼び出しの通知が、お客様の手元のどこに届くかです。専用アプリの通知、SMS、メッセージアプリの通知など、方式によって「お客様が最初に何をしなければならないか」が変わります。
たとえば LINEミニアプリは、LINE上で動くウェブアプリで、アプリをインストールしなくても利用できます(LINEヤフー「LINEミニアプリとは」)。また、LINEミニアプリ専用の通知機能で、順番の呼び出しなどをLINEで知らせられるとされています(LINEヤフー for Business「LINEミニアプリ」)。初めて来店されたお客様が、受付から通知の受け取りまでを何ステップで終えられるかを、実際に自分のスマートフォンで試して数えるのが確実です。
軸3:スタッフは、何回操作するか
呼び出し、ご案内、キャンセルの処理を、スタッフが何回の操作で終えられるかです。ピークの時間帯は、1組あたりの操作が増えるほどホールの負担になり得ます。デモでは1組分の操作にかかる時間を実際に測り、アルバイトのスタッフが初日で覚えられそうかも見てください。
軸4:お客様から、どの情報を預かるか
受付の際に、名前や電話番号をどこまで預かるかです。情報通信白書では、インターネットを利用している人の約7割が利用時に何らかの不安を感じており、不安の内容では「個人情報やインターネット利用履歴の漏洩」が最も高い割合でした(総務省「令和7年版 情報通信白書」)。順番待ちに必要な情報だけで受付できるかは、お客様が受付の途中でやめてしまわないためにも比べておきたい点です。
機能で比べることと、運用で比べることの違い
機能表は「できるかどうか」を教えてくれますが、「ピークの30分にどう動くか」までは教えてくれません。比べるときは、同じ項目を2つの見方で確かめてください。
| 比べる項目 | 機能表で分かること | 運用で確かめること |
|---|---|---|
| 受付の入口 | 店頭・店外・スタッフ受付に対応しているか | 自店で開ける入口を1つに絞れるか。後から増やせるか |
| 呼び出し通知 | 通知の方式 | 初めての方が、受付から通知の受け取りまで迷わず終えられるか |
| スタッフの操作 | 呼び出し・案内・キャンセルの機能 | 1組あたり何回の操作か。新人が初日で覚えられるか |
| 紙との併用 | 整理券の印刷に対応しているか | スマートフォンを使わない方を、同じ列に並べられるか |
| 店ごとの設定 | 確認項目や表示文言を変えられるか | 店の方針に合わせた案内文を、店側で直せるか |
| 記録 | 待ち組数や待ち時間を見られるか | その数字を、シフトや席の配置の見直しに使えるか |
右の列は、デモ環境や試用で確かめます。1組を最初から最後まで通したうえで、数組を続けて受け付け、途中のキャンセルや呼び出しに応じない方の保留まで試すと、ピークに近い動きが見えます。記録の見え方は、何日か使ってデータがたまってから確かめてください。
もう1つ、費用は月額だけでなく、店頭の端末やプリンターなどの機器、整理券の用紙といった付帯する費用も含めて見積もりをそろえてください。そのうえで、比べる相手は「いま受付と行列整理にかけている手間」です。日本フードサービス協会の調査では、2025年の外食全体の売上は前年比107.3%でしたが、その主な押し上げ要因は客単価の上昇(104.3%)で、客数の伸びは102.9%にとどまり、客数の頭打ち感も少しずつ進んでいるとされています(日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和7年(2025年)年間結果報告」)。お客様の数を増やしにくい時期ほど、待ち時間を理由にお帰りになる方を減らせるかという視点で、自店の記録と合わせて比べる意味があります。
選定の場で実際に使われている判断基準
実際の現場では、どこが決め手になったのでしょうか。matoca の導入事例から、判断基準にあたる部分を抜き出します。導入を決める前の選定理由と、導入後に振り返った評価が混じるので、分けて書きます。
- お客様の操作の分かりやすさ:デニーズ新宿西口店・赤坂駅前店では、スマートフォンでQRコードを読み取り、案内に沿って操作するだけで受付が完了する分かりやすさと、使い慣れたLINEをそのまま使える手軽さが評価されました。スタッフに特別な説明や対応が要らない点も含め、複数社との商談の中で決め手になったとされています
- スタッフの操作の簡便さ:理容プラージュ・美容プラージュでは、全国に600店舗以上あり操作するスタッフも多いため、「スタッフの操作が簡便であること」が重要な要件でした。要件を満たすサービスを複数検討したうえで採用されています
- 通知設定の手軽さ(以前の試行からの学び):予約不要のサロンでは、以前に一部店舗で別の呼び出しサービスを試したものの、スマートフォンへの通知設定が手軽でなく、店外で待つお客様は増えなかったといいます
- 機械化しすぎないこと(導入後の評価):四つ角飯店の店長は、導入後にほかの順番待ちシステムも体験し、席まで自動で案内する仕組みも便利だと感じた一方、店のサービスとしては少し無機質にも感じたと話しています。受付方法のご案内を含めて接客と考え、人による接客を残せる点を評価しています
評価された点は現場ごとに違いますが、どの現場も機能の多さそのものより、お客様やスタッフが迷わず使えるか、店の接客の考え方に合うかを見ています。機能が足りているかは前提として、そのうえで操作の手間と使い心地を比べる、という順番が参考になります。
matoca が選ばれている現場
matoca は、LINEで順番待ちができるLINEミニアプリとして提供している順番待ちシステムで、導入企業390社超・導入店舗2,380店(エンハンス・スポットプランを除く)の実績があり、全47都道府県で使われています。業種ごとの使われ方は順番待ちシステムとはでも紹介しています。
上の4つの軸に当てはめると、次のようになります。
- 軸1(受付の入口):店頭でのお客様ご自身の発券、スタッフによる発券、店外からの受付に対応し、紙の整理券との併用もできます
- 軸2(通知の届け先):LINEに呼び出しが届くため、お客様に新しいアプリを入れていただく必要がありません
- 軸3(スタッフの操作):理容プラージュ・美容プラージュでは、ボタンひとつで呼び出しができるようになりました。四つ角飯店では、アルバイトのスタッフも初日で覚えられるほどだといいます
- 軸4(預かる情報):デニーズでは、受付時の確認項目や表示メッセージを店舗ごとにカスタマイズできる機能を使い、運営方針に応じた案内をしています。何をうかがうかを店側で決められます
補足として、記録の活用もできます。予約不要のサロンでは、時間帯別の待ち組数や平均待ち時間を管理画面で確認し、各店舗の運営に使っています。
比べている最中の方は、デモで数組を続けて受け付けてみるところから始めてください。自店の入口や呼び出しの条件をお伝えいただければ、その前提で操作をご案内します。
まとめ
順番待ちシステムを比べるときは、機能表の○×を数える前に、次の4つを自店の言葉で決めてください。
- お客様は、何を使って受付するか(スマートフォンを使わない方の入口を含めて)
- 順番が来たことを、お客様の手元のどこに知らせるか
- スタッフは、1組あたり何回操作するか
- お客様から、どの情報を預かるか
そのうえで、各製品のデモで1組を最初から最後まで通し、数組を続けて受け付けてみると、資料の上では同じに見えた製品の違いがはっきりします。
