「整理券システム」と一口に言っても、入口に置く発券機から、お客様のスマートフォンで番号を取る仕組みまで、性格の違う製品が同じ言葉で並んでいます。並べて比べる前に、自店が欲しいのは「並ばずに待ってもらう仕組み」なのか、「来店そのものを分散させる仕組み」なのかを決めておくと、候補はかなり絞れます。
この記事では、整理券システムを番号の配り方と発券のかたちの2つで分類し、導入前に決めておく条件と、業種ごとの使われ方を整理します。順番待ちの方式全般(誰が発券し、どう呼び出すか)は順番待ちシステムとはに、いま紙の整理券を配っている店舗の移行手順は紙の整理券はやめなくていいにまとめています。
整理券システムとは。順番待ちシステムとの違い
整理券システムとは、来店・来場された方に番号を発行し、その番号で順番または入場・購入の権利を管理する仕組みです。番号を配る、進みを知らせる、番号を使い終わったことを記録する、という3つの動作を一続きで扱います。
順番待ちシステムと重なる部分は多く、両者に厳密な境界があるわけではありません。ただ、言葉の力点は違います。順番待ちシステムは「受け付けた方を、並ばせずに待ってもらう」ことを中心に語られます。整理券システムという言葉は「番号をどう配るか」に力点があり、当日の先着順だけでなく、時間枠を決めて配る、抽選で配る、といった来店そのものを分散させる配り方を含めて語られます。この記事でも、順番の管理に加えて、入場・購入の権利の管理までを対象にします。
紙の整理券そのものは昔からあります。仕組みとして変わったのは、番号を配ったあとの連絡経路と、番号を取れる場所の2点です。お客様のスマートフォンで番号を取れるようになると、店に着く前に番号を持てますし、番号が近づいたことを通知で知らせることもできます。この2点が、後述する「発券のかたち」の分かれ目になります。
番号の配り方による分類
配り方は、「順序をどう決めるか」と「時間枠を設けるか」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。この2つは独立していて、組み合わせて使えます。
順序の決め方:先着か、抽選か
先着順は、受け付けた順に番号が決まる、もっとも一般的な決め方です。仕組みは単純で、お客様にも説明が要りません。ただし「早い番号を取りたい」という競争は残るので、店頭でしか番号を取れない場合は、発券の前に列ができます。店外から番号を取れるようにすると、発券前の行列を減らせます。
抽選は、応募期間を設けて受け付け、締め切り後に抽選で番号を決める方式です。先着順では配布前から行列や徹夜が発生することがあり、その混雑そのものを無くすために使われます。matocaの前身サービスでも、先着順ではなく抽選で整理券番号を決める機能を2019年に追加しています。先着と抽選のどちらを選ぶかの考え方と、抽選を告知するときの注意点は順番待ちシステムとはの「先着にするか、抽選にするか」にまとめています。
時間枠を設けるか
番号を配る段階で「何時から何時の枠」を一緒に割り当てるかどうかです。時間枠を設けると来店を時間帯ごとに分散できるので、入場者数を平らにしたい催事や、受け取りの時間を分けたい販売に向いています。先着順で番号を配ってから時間枠を割り当てることも、抽選の当選者に時間枠を指定することもできます。一方で、割り当てた時間に来られなかった方の扱いを先に決めておかないと、枠が空いたまま埋まらないことが起こります。
発券のかたちによる分類
次に、番号を何で発行するかです。ここは製品の見た目に直結するので、比較のときに最初に目に入る違いでもあります。
発券機・プリンター型
入口の発券機やレシートプリンターから、紙の番号札が出るかたちです。スマートフォンをお持ちでない方にも渡せる一方、番号札だけを渡す運用では、番号が進んだことを知らせる手段が店内表示か口頭の呼び出しに限られます。紙の強みと限界、番号札にQRコードを印字して通知につなげる方法は、紙の整理券はやめなくていいに書きました。
タブレット受付型
店頭に置いたタブレットで、お客様ご自身またはスタッフが操作して発券するかたちです。人数や席の希望といった受付項目を一緒に取れるのが利点で、プリンターをつなげば紙の番号札も出せます。すでにお持ちのタブレットを使える製品であれば、機器の追加は最小限で済みます。
スマートフォン発券型
QRコードを読み取り、お客様ご自身のスマートフォンで発券するかたちです。QRコードは店頭だけでなく、ホームページ・SNS・ポスターにも置けるので、店に来る前に番号を取れます。番号が近づいたことを通知で知らせられることも、このかたちの特徴です。
このかたちの中でも、専用アプリを使うものと、メッセージアプリの中で動くものに分かれます。専用アプリは初めて来店された方にインストールをお願いすることになります。LINEミニアプリは、LINEの中で動くウェブアプリで、アプリをインストールしなくてもサービスを利用できます(LINEヤフー「LINEミニアプリとは」)。LINEヤフーの公表では、LINEミニアプリの月間利用者数は2,897万人(2026年3月末時点・LINEヤフー調べ)、リリース済みのサービス数は33,000件(2026年3月時点)です。
matocaの導入店舗では、このどれか1つに決めるより、タブレットや紙とスマートフォンを併用する運用がよく見られます。紙で受け取った方も、スマートフォンで受け取った方も、同じ1本の列として扱えるかどうかが、併用するときの分かれ目です。
導入前に決める4つの条件
製品の機能表を見る前に、自店の運用として次の4つを決めておくと、選定が速くなります。
- 紙を残すか——スマートフォンをお持ちでない方や、通信が止まったときの受け皿として紙を残すか。残すなら、紙とスマートフォンの番号を一つの列で扱える仕組みが要ります
- 一人が取れる枚数と、取れる場所——同じ方が何枚も取る、遠方から取る、といったことをどこまで許すか。発券できる距離の制限や、1アカウント1枚の制限で防ぐのが一般的です
- 番号を使い終わった処理——入店・購入・受け取りが済んだ番号を、いつ誰が「使用済み」にするか。呼び出しに応じない方を保留にする基準は、紙の整理券はやめなくていいの「トラブル別の決めごと」を参考にしてください
- お客様から何を預かるか——氏名や電話番号を取るか、番号だけで運用するか。預かる項目が少ないほど受付は速く、預かるなら個人情報保護委員会のページで法令上の扱いを確認しておきます
とくに4番目は、発券のかたちと連動します。LINEなどのメッセージアプリで通知する方式では、通知先がそのアプリになるので、電話番号を預からなくても連絡経路を持てます。
業種ごとの使われ方
飲食店では、当日の先着順に店外発券を組み合わせる使い方が一例です。ビルの2階以上にある店舗のように、店頭に列を作りにくい立地では、来店されたお客様が店頭に留まらずに待てる仕組みとして使われています(デニーズ新宿西口店・赤坂駅前店)。
物販・限定販売では、発売日の行列を店頭からなくすことが目的になります。先着順にするか抽選にするか、一人が取れる枚数をどう制限するかが、運用の決め手です。
イベント・催事・ポップアップストアでは、入場の順番と時間帯を整理するために使われます。時間枠や抽選が候補になり、入場時に番号を使用済みにする処理が要ります。
窓口業務(自治体・鉄道・医療機関)では、受付番号としての使い方です。来庁・来駅された方が窓口の前を離れて待てることが、この領域での価値です。matocaでは吹田市役所の窓口業務や、JR西日本のみどりの窓口で導入いただいています。
理美容・サービス業では、予約を取らずに来店順で施術する店舗で、来店順の番号として使われます。番号を取ったあとに外出できるかどうかが、お客様の待ち方を変えます。
matocaの整理券システムでできること
matocaは、LINEで順番待ちができるLINEミニアプリとして提供している整理券システムで、導入企業390社超・導入店舗2,380店(エンハンス・スポットプランを除く)、全47都道府県で使われています。上で整理した分類に当てはめると、次のようになります。
番号の配り方は、先着順に加えて抽選に対応しています。抽選では受付順に関係なくランダムに採番し、LINEの1ユーザーあたり1エントリーに制限できるため、同じアカウントからの重複応募を防げます。
発券のかたちは、タブレット受付型(お客様ご自身の操作、またはスタッフの操作)と、QRコードからお客様のスマートフォン(LINEミニアプリ)で発券するスマートフォン発券型の両方に対応し、どちらで発券しても同じ列として扱います。紙の整理券との併用ができ、整理券は日本語・英語・韓国語・中国語(簡体・繁体)の中から選んだ言語で印刷できます。店外発券は、発券できる距離を設定すると、その範囲の外からの発券を制限できます。
規模で見ると、matocaで発行される整理券はイベント以外で月493万枚、イベント系では月20〜50万枚です。紙で受け取る方とLINEで受け取る方の比率は紙の整理券はやめなくていいに実測値を載せています。
使い終わった処理は、管理画面またはスマートフォンの操作で整理券に「使用済み」のスタンプを押せます。
既存の機器との連携は、発券APIで番号と通知設定用のURLを取得し、POSレジや券売機のレシートにQRコードとして印字する使い方ができます。日毎・時間帯別の受付数、平均待ち時間、待ち時間の分布はExcelで取り出せます。
導入までの期間は最短で翌日、店舗専用のミニアプリを用意する場合は2〜3週間が目安です。
よくある質問
お客様にアプリを入れてもらう必要はありますか。 ありません。LINEミニアプリなので、LINEをお使いの方はそのまま発券できます。LINEをお使いでない方には、紙の整理券に加えて、スポット・ベーシック・専用ミニアプリの各プランでは電話による自動呼び出しで対応します。エンハンスプランは電話呼び出しの対象外で、受付票の発券で対応します。
紙の整理券と併用できますか。 できます。紙で受け取った方とスマートフォンで受け取った方を、同じ1本の列として管理します。
先着順と抽選は同じ仕組みで使えますか。 抽選は、大規模なイベント・催事向けのエンハンスプランで提供しています。先着順の整理券と抽選の整理券を、催事の性質に合わせて使い分けられます。
導入までどれくらいかかりますか。 最短で翌日から使えます。店舗専用のミニアプリを用意する場合は2〜3週間が目安です。
まとめ:自店に合う整理券システムの選び方
整理券システムを選ぶときは、まず「番号をどう配るか」(順序の決め方と時間枠)と「何で発券するか」(発券機・タブレット・スマートフォン)の2つで、自店の位置を決めてください。そのうえで、紙を残すか、一人が取れる枚数と場所、使い終わった処理、お客様から預かる項目の4つを決めれば、必要な仕組みはかなり絞り込めます。機能表を比べるのは、その後で十分です。
