整理券を配る店では、お客様が順番を取れるのは「店に着いてから」が普通です。店頭の発券機や受付表、スタッフの声かけ。どれも、お客様が店の前に立った時点から順番が始まる仕組みです。
これに対して、店の前に来る前に、お客様が自分のスマートフォンで順番を取れるようにするのが「店外発券」です。この記事では、店外発券の定義と仕組み、似た言葉との違い、そして実際にどのくらい使われているのかを整理します。整理券システム全体の種類は整理券システムとはで扱っています。
店外発券の定義
この記事でいう店外発券とは、店頭の受付を通らずに、お客様が店の外から整理券を受け取ることです。
ポイントは「どこで待つか」ではなく「どこで順番を取るか」にあります。店頭で整理券を受け取ってから外で待つのは、受付そのものは店頭です。店外発券は、受付の場所そのものを店の外へ広げる考え方です。
店外発券の仕組み

店外発券は、多くの場合、お客様のスマートフォンを発券機の代わりにすることで成り立ちます。LINEで動く整理券を例に、入口・発券・待機の3段に分けて見てみます。
1. 入口:リンクとQRコードを店の外に置く
LINEミニアプリは、LINEの外からも開けます。パーマネントリンクをウェブサイト、メール、テキストメッセージに掲載したり、QRコードにして各種媒体に掲載したりすることで、ユーザーはそこからアクセスできます(LINEヤフー「LINEミニアプリとは」)。入口を店頭の1か所に限らず、店のホームページやSNS、ポスターにも置けるということです。
2. 発券:お客様が自分で操作する
入口を開いたお客様は、人数などを選んで自分で発券します。スタッフの手は通りません。そのため、店頭が混んでいる時間でも、受付の手間は増えにくいのが特徴です。
3. 待機:呼び出しまで店の外で過ごす
発券した後は、順番が近づいたときと呼び出されたときに、スマートフォンへ知らせが届きます。お客様は店の前に立ち続ける必要がありません。
ここで1つ決めておくことがあります。遠く離れた場所からの発券をどこまで許すかです。店外からの受付では、発券から来店までにかかる時間がお客様によって変わります。店に戻れる範囲にいる方だけが順番を取れるようにするかどうかを、先に決めておきます。
店頭発券・予約との違い
店外発券は、店頭発券や予約と混同されやすい言葉です。違いを表にまとめます。
| 比べる点 | 店頭発券 | 店外発券 | 予約 |
|---|---|---|---|
| 順番を取る場所 | 店頭 | 店の外(スマートフォン) | 店の外 |
| 決まるもの | 当日の順番 | 当日の順番 | 来店する時刻 |
| 取るタイミング | 店に着いてから | 店に着く前 | 前日以前のことも多い |
| 発券後の待ち方 | 店頭、または通知で外へ | 通知で外へ | 指定の時刻に来店 |
予約との違いは、時刻を約束するか、順番を約束するかです。店外発券で決まるのはあくまで当日の順番で、来店時刻は決まりません。先着順の考え方はそのまま残ります。
店頭発券の後に外で待つ運用とも違います。たとえば四つ角飯店では、受付後は店舗前を離れ、順番が近づくまで買い物や用事、自宅などで過ごせる運用に切り替えました。これは受付後の待ち方を変えた例です。店外発券はそこからもう一歩進めて、受付の前から店に来る必要をなくすものです。
店外発券は、どう使われているか
では、店外発券を開くと、お客様の多くがそちらに移るのでしょうか。実測を見ると、そうではありません。
matoca を使っている店舗の実測では、全発券のうち店外発券は8% です(紙の整理券はやめなくていい)。店舗ごとの差はありますが、集計全体で見ると店外発券は少数で、店頭の入口に1つ足す入口として使われています。
それでも、足す意味はあります。関西エリアで理容室・美容室を展開するWAKAMATSUでは、来店前に混雑状況を確認して来店時間や店舗選びの参考にできるようになったほか、来店せずにLINEで順番待ちの受付ができるようになったと報告されています。店外からの順番待ちの比率も半年で3倍に増えたということです。原因までは分かりませんが、半年で店外からの利用比率が増えた事例があるということです。
待ち時間が長い店では、店外発券が受付の中心になることもあります。静岡県内で35店舗を展開する炭焼きレストランさわやかでは、繁忙期に最大10時間ほどの待ち時間が発生し、受付のために一度店舗まで足を運ぶ必要があることが課題でした。店舗から15km圏内であればスマートフォンから発券できる運用に切り替え、現在は全体の約7割のお客様がスマートフォンから発券しています。混雑する店舗ほど、スマートフォン発券の比率が高くなる傾向があるということです。受付のためだけに来店する車が減って駐車場周辺の混乱が軽くなり、近隣の宿泊施設や観光地から発券して、順番が近づいてから向かうお客様もいます。一方で、店頭での発券も同じ時刻に開始し、スマートフォンを使わない方の選択肢を残しています。
店外発券を開く順番については、紙の整理券からの移行手順や行列店の待ち時間対策で、それぞれ、店外発券を開く前に何を整えるかを段階に分けて紹介しています。店外発券は単独で入れるより、呼び出しの通知とあわせて開くのが基本です。
matoca での店外発券
matoca では、店外発券用のQRコードを読み込むと matoca のミニアプリが開き、お客様ご自身で発券できます(matoca 公式サイト)。LINEミニアプリなので、お客様に新しいアプリを入れていただく必要はありません。
入口になるQRコードは、店頭だけでなく、店のホームページやSNS、ポスターに載せたQRからも発券できます。行列を見てから順番を取るのではなく、発券できる範囲内にいれば、ホームページやSNSで店を見つけたその場で順番を取る、という流れを作れます。
一方で、どこからでも取れるわけではありません。matoca は発券できる距離に制限があるため、遠方からは発券されません(matoca 公式サイト)。仕組みの節で触れた「遠く離れた場所からの発券」は、この距離制限で抑えています。
matoca の実測では、店外発券は全発券の8%です。数字だけを見ると小さく見えますが、その8%は店の前に並ばずに順番を取れた方です。順番が近づいたときにはLINEで自動通知が届き、LINEを利用していない方には電話呼び出しでも対応できます(matoca 公式サイト)。
matoca は、導入企業390社超・導入店舗2,380店(エンハンス・スポットプランを除く)で使われています。まずは今ある店頭の受付はそのままに、ホームページやポスターに入口を1つ足すところから考えてみてください。
まとめ
- 店外発券は、店頭の受付を通らずに、お客様が店の外から整理券を受け取ること。変わるのは待つ場所ではなく、順番を取る場所
- 入口はリンクとQRコード。ホームページ、SNS、ポスターに置ける
- 予約は時刻を、店外発券は当日の順番を約束する。先着順はそのまま残る
- matoca の実測では、店外発券は全発券の8%。多くの店では1つ足す入口として使われている。一方、待ち時間が長い店では約7割がスマートフォンから発券する例もある
- 遠方からの発券は距離制限で抑え、呼び出しの通知とあわせて開く
